KIBIHA

幾夏のさぶあかうんと

東長崎

今週は、5コマも授業に出られなかった。

もう再履の覚悟を決めたに等しい。

一週間で一番楽しみな金曜日なので、かなり学校に行きたかったけど、

けっきょく行けずに家にいた。

 

でも夏の夕方、お風呂上がりに薄着で外に出るのは最高に気持ち良い。

近所でも、どこか温泉旅行に来ているような気分になる。

 

***

 

はぁ~旅行に行きたいなぁ。

そんで縁側で浴衣着ためっちゃ可憐な少女に膝枕してもらいたい。

というよりも、海の近くで花火を見ながらのそういう構図に、憧憬の念が長いことある。

尾崎翠の「初恋」という話を思い出す。

祭りの夜、盆踊りの輪に、綺麗な人を見つけてあとをつけていくと…というあらすじで、

ただ月光と長襦袢が僕に夢を売りつけたのだ。

と締めくくられる短い掌編。とても好き。

 

泊まるなら、「ニュー熱海」みたいな、平易なカタカナのついた名前の旅館がいいな。

(熱海のイメージ) 

ホテルニュー淡路とか、ホテルニュー大倉とか、

ニュー+地名の相性ってなんでこうも絶妙なんだろう。

 

***

 

フィルムカメラの現像を待ちながら、東長崎を散歩した。

同じ沿線に住みながら、特に降りたことはまだない駅だった。

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踏切のところで建物を眺めてると、なんだかここはよさげだなぁと思った。

ラムネの包み紙みたいな、のどかな色をしている。

 

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歩いていくと、八百屋と肉屋と布団屋と電気屋と各種あって、

それらがちゃんとそこに住む人の生活のために機能している印象だった。

スーパーや薬局もあるけど、チェーンでない独特の雰囲気の名前で、庇の基調色は赤で。

TSUTAYAとかも、どこか一昔前のさびれ感があって、町に馴染んでいた。

 

でも、たまにアジアの香辛料の専門店があったり(外国の人がやっている)

こういうカラフルなシャッターがあったり、アトリエがあったりもする。

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  なんか、湯上がりのテンションのせいもあって、何にでも懐かしさを感じた。 

 

学校帰りのようなセーラー服の女子高生が細い路地に消えたので、あれっと思ったら、

和菓子屋のショーケース越しにお兄さんと話していた。

引き返す時にもう一度通ると、母親と思われる女性と一緒に店の外で立ち話をしていた。

昔読んだ本の中で見たような光景が目の前で展開されていて、胸が少し熱くなる。

地元にはあるようでない類の郷愁があった。

(これはおととしの夏くらいに國定教科書の看板をはじめて生で見て感動した写真) 

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家の中だけでなく、路面にも生きている日常が息づいている、と感じるような、

いい意味で生活感にあふれた町だった。

豆を挽いてる機械を子どもがじっと見てる、

そういう何気ない風景が、ちょっと疲れた心に沁みた。

急行は止まらないけど、次に一人暮らしするならここがいいなぁ。

 

帰り際に野良猫が通ったりして、あまりに「できすぎてる」と思うくらいだった。 

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せっかくなので、今度行った時には祖父がくれたフィルムカメラで写真を撮ろうと思う。