KIBIHA

幾夏のさぶあかうんと

2017-08-10から1日間の記事一覧

懐石料理

貰い物の風鈴ひとつと木組みを吊るした自室は、穏やかな闇に包まれていた。夜、封筒を蛍光灯に照らすと、 折り重ねられた便箋が幾層にも重なって透けていた。 匂い袋の香がつと薫り、糊付けをじりりと剥がすときはひと匙の背徳感がある。 なのに今日は、封留…