KIBIHA

幾夏のさぶあかうんと

「目下茫洋」後記

">「女性」と口にすることはあっても、「女」という言葉を自身の口で発語したことはこれまでに数回しかない。その言葉にまとわりついたムンと湿った気配が耐えがたかった。それは、できるだけ「傷ついた」という言葉を使わずに心の機微を表現したいという常…

box no.2X

洗い物をしながらいろいろなことを考えていたら、ふっと「日記を書きたい」と思った。しかしその思いは今や、純粋に自分だけが見るノートに今日の記録を残したいということではなく、日記というフォーマットで文章を発表したいという欲望にすり変わっている…

ブログ

地元に引っ越してきてからもうすぐ一ヶ月が経つ。普通とされていることが自分にも(少しは)できる、というそれだけのことにどれだけ救われるのか、これまで知らなかった。朝の時間帯のうちに起きて「仕事」に行くこと、は一ヶ月前までは全く自分にとってリ…

2022年の音楽関連振り返り

こういった振り返りをするのははじめてなので勝手がわからないが、とりあえず書いてみようと思う。・ ワイヤレスイヤホンを使ってみた奮発してTechnicsのEAH-AZ60というモデルを買った。3万円弱くらいしたが、これは良い買い物だったと思う。イヤホン店で片…

日曜の朝六時に目が覚めると、雨音と一緒に二つの窓から曇天の空の色が入ってきて、ああここはいい部屋だなと思った。こんな朝が人生にあと何回訪れるだろう。十分に眠って元気があって、何も予定がない日曜日の朝。音楽を流してクッキーをかじりながら、図…

ガッツ

昨日「今年は散歩する一年にしたいんよね」と言ってみて、自分で笑い出してしまった。皆より長く大学にいて、しかも思っきり就活の機を逃しながら、今から散歩て。どんだけ人生遠回りする気やねん。こうして書いてる関西弁の自分はいつも幼い。外側だけ歳と…

磯の香る場所

久しく放念していたGoogleドキュメントの中を覗いた。6年前から貯めてきたさまざまな種類の書類が、時系列も乱れたままにそれぞれフォルダに収められていた。クリックして開くと、書きかけの生々しい断片が溢れ出てきて、慌てて目を閉じた。この構造は私の記…

あの夢

今日はやたらに鼻がツンとする。ここ最近日常になったばかりの町を歩いていた。作業をするつもりが、どうにも頭が働かないので近所の小さな銭湯を初めて訪れた。番頭さんと声を交わして、湯に浸かる。交互浴は端折ってすぐに洗い場へ向かい、シャワーの蛇口…

2021

どうしても眠れない夜なので4年ぶりにブログを更新する。少し前から非公開にしていたのだが、いまや何かを書いて「ひっそりと」表に出せるのはこのサイトぐらいだし、特に検索に引っかかるワードも入れていないのでそっと公開に戻した。性懲りも無く日々繰り…

10.31

東京に来てはじめてできた友人と、缶の酒を飲みながらぼそぼそと話した。「どんな人かっていうと、なんというか、散歩をしない人」そんな言葉で会話したのはいつぶりだ。真っ暗な駐車場で地べたに座ったりして。少し緊張していた。距離を感じた彼が「久しぶ…

懐石料理

貰い物の風鈴ひとつと木組みを吊るした自室は、穏やかな闇に包まれていた。夜、封筒を蛍光灯に照らすと、 折り重ねられた便箋が幾層にも重なって透けていた。 匂い袋の香がつと薫り、糊付けをじりりと剥がすときはひと匙の背徳感がある。 なのに今日は、封留…

東長崎

今週は、5コマも授業に出られなかった。 もう再履の覚悟を決めたに等しい。 一週間で一番楽しみな金曜日なので、かなり学校に行きたかったけど、 けっきょく行けずに家にいた。 でも夏の夕方、お風呂上がりに薄着で外に出るのは最高に気持ち良い。 近所でも…

E-house

昨日の延長をやってる間に今日がきてしまった。何をしたでもないのに「犬は吠えるがキャラバンは進む」のアルバムが、もう最後のローラースケートパークまで進んでいる。 地上の夜が終わって、カウボーイ疾走の朝がきた、そういう慌ただしさに天花粉で横槍を…

fata morgana(ファタ・モルガーナ)

楽しくなっちゃったのでまたやってみます。 今回は「追風用意」「恙(つつが)」「カオリンパップ」の3つ。

サンプル

思い当たる節があって、眼鏡をやめた。 夜に四日市を走ると、眩く霧散する光が今をあの頃と錯覚させるようになった。 広いフロントガラスの向こうに今にも彼と彼女が飛び出してきそうでそわそわしてしまう。 トンネルを抜けた先、もう一度弾ける白い光線。コ…

泉・蟻のみ

飽きもせず言葉を採集しては一語ずつフェルトペンで大きく書いた札がついに500枚ほどになりまして。大して多くない気もするけど、せっかくなので何かやってみようと思い立ったので、試してみます。 500の中から無作為に引いた3つの単語を使って小咄を…

尻が嫌いだ

基本的に悪口は言わないようにしているが、どうしても許せないものがある。これは言ったところでそれほど誰かを傷つけたりしないような気がするので、言わせて下さい。尻だ。いや、尻と口に出すのさえはばかられる。尻あらため臀部だ。何をそんなに深刻な顔…

はじめて始発に乗った

火曜日に、始発(の次)の電車、乗った。 ちょっと思ってたのと違ったけど、面白くはあった。 山をひとつ越えた隣の府のターミナル駅まで行って、そのまま逆方向の電車で引き返して学校に行くことにした。 いつもの駅までの道のりは完全に夜道、少なくとも自分…

鴨の浮寝

(でもいろいろなことを思い出して、十分じゃん十二分じゃんと言い聞かせる)もう何も見たくない知りたくないずっと眠ってたい。音楽だけを聴きたい。寂しさからとった行動が一層寂しさを呼んだ。こんなにも都会で心細いと思ったことはなかった。出入りする…

無題

きっと自分は子供を産むまいと思う。自分の遺伝子を継いでほしくないし、たぶん恩着せがましいから自分の子どもでも愛せない。でも友人に子供ができたら伝えるだろう 特別なことがないときでも何度もしっかりと抱きしめ手をつなぎ頬ずりをして、人の存在を価…

堂々巡りはやっぱり目が回るらしい

堂々巡りという言葉は、僧侶が祈祷のために寺のまわりをぐるぐる回り歩いたことに由来するらしい。目が回ることもきっとあっただろう。果たして自分はこの3年間を最大限に活かせたのだろうか・もっと他にできることがあったのではないだろうか、という、自…

「足を閉じて座りなさい」への違和感

制服が嫌というよりも、制服によって振る舞いを規定されるように感じることが不服なんだ。主にスカート。スカートを履くと“女性らしく”振る舞うことが暗に強制されているように感じる。だらしなくならないようにするには、椅子では足を閉じた方がいいとされ…